9章ソフトウェアメトリクスを使用して保守性を確保する
Alexander von Zitzewitz
本章では、プロジェクトガバナンスに利用できる興味深いソフトウェアメトリクスをいくつか紹介します。紹介するのは、コードの結合、アーキテクチャの侵食、コードの複雑さ、設計品質などを評価するためのメトリクスです。本章で紹介するメトリクスの適切な使用は、保守性を高く保ち、全体的な開発・保守コストを下げ、プロジェクトのリスクを軽減する上で重要な役割を果たします。また、定期的に追跡することで、有害な傾向を早期に発見し、まだ修正が容易なうちに問題を解決できます。
9.1 メトリクスを使う理由
複雑なプロダクトを作るすべての業界は、品質とユーザビリティを確保するためにメトリクスを使用しなくてはなりません。現代の製造業では、厳格な品質測定は欠かせないものとなっています。この点で、ソフトウェア産業は他の産業に比べ明らかに遅れています。メトリクスを活用して品質やユーザビリティを保証するアプローチを取ることで、ソフトウェア産業はより前に進むことができます。
メトリクスの最も良い活かし方は、メトリクスベースのフィードバックループを運用することです(図9-1参照)。メトリクスベースのフィードバックループを運用すれば、プロダクトが計測可能な品質基準を満たしている状態を保持できます。フィードバックループを回すことで、全体的な品質に加え、ソフトウェアの保守性も向上します。保守性が向上すると、可読性が上がることでコードの理解にかかる時間が減り、開発者はより多くの時間をコードの改善や追加にかけられるようになります。結果として、メトリクスベースのフィードバックループの運用は、プロジェクトに携わるすべての開発者の生産性を向上させます。 ...
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