C#クックブック ―プロフェッショナル開発者のためのモダンレシピ

1章型とアプリケーションの構築

　開発者はまず、新しい型を設計し、整理し、作成するという作業を行うことになります。この章では、プロジェクトのセットアップ、オブジェクトの生存期間の管理、パターンの構築に役立つレシピを紹介します。

アーキテクチャの構築

　プロジェクトを初めてセットアップする際は、全体的なアーキテクチャを構想する必要があります。そこで、関心の分離（SoC：Separation of Concerns）と呼ばれる概念を利用して、アプリケーションの一部分が特定の機能を果たすようにします（例えばUIレイヤーでユーザーからの操作を処理し、ビジネスロジックレイヤーでルールを定め、データレイヤーでデータソースとやりとりするようにします）。各レイヤーはそれぞれの目的あるいは役割を果たすようにし、それぞれが必要とする処理を行うコードを持つようにします。

　関心の分離を行うと、コードの結びつきをできるだけ弱められるだけではなく、特定の処理を行うコードを見つけやすくなるという利点も得られます。さらに、新しい機能を追加したり、既存のコードを管理しやすくもなります。これらの利点により、アプリケーションの品質が上がり、生産的な作業を行えるようになります。このことをまず理解していただけるよう、「レシピ1.5　アプリケーション層の設計」を用意しました。

　コードの結びつきを弱めるということに関連して、制御の反転（IoC：Inversion of Control）という概念があります。この概念を利用すると、コードの分離を実現し、コードのテスト性が向上します。具体的には「レシピ1.2　明示的な依存の削除」で説明します。製品の品質に焦点を当てている「3章　品質の維持」ではIoCがいかにユニットテストと相性がいいかを説明します。 ...