訳者あとがき
多くの企業や組織が日々発生する攻撃を予防し、検知し、対応しようと様々な努力を重ねています。しかし、全ての脅威を排除できる「銀の弾丸」のようなセキュリティ製品は存在せず、人材や予算などのリソースが潤沢にある企業・組織もほとんどないのが実情です。
攻撃側は、新しいTTPsを利用し、常に防御側を出し抜こうとしており、人間の心理をうまく悪用するソーシャルエンジニアリング、防御が手薄なグループ企業・取引先を狙うサプライチェーン攻撃、ゼロデイ攻撃の悪用など様々な攻撃手段を組み合わせてきます。
一方防御側は、かなりカスタマイズされた攻撃テクニックも多いため、特定の製品・ベンダーに頼ればよいという時代ではなく、常に予防を怠らず、侵入やセキュリティインシデントを前提に、攻撃者に対抗していかなければなりません。ケビン・ミトニック氏の著書に、「セキュリティシステムは常勝を義務付けられ、攻撃者は一度勝つだけでよい、という格言は的を射ている」という記述がありますが、まさにこれは私たちの心情を言い当てたものでしょう。攻撃者は新しい攻撃テクニックで一度攻撃に成功すればよい一方、私たちは24時間365日、いかなるときも攻撃者の目標を阻止すべくプレッシャーに悩み続けています。
セキュリティリソースは限られているが、あらゆるテクニックを駆使する攻撃者の侵入を阻止・最小化すべきという、相反する状況に置かれたセキュリティチームにとって、脅威インテリジェンスは大きな力を与えてくれるコンセプトです。脅威インテリジェンスを活用することで、具体的な脅威に対応し、他組織の事例や情報連携などを通じ、同じ課題を持つ組織全体で攻撃者に対抗していく考え方は、セキュリティ防御の幅を広げてくれる概念だと考えています。孫子の有名な格言に「敵を知り、己を知れば百戦殆うからず」という言葉がありますが、脅威インテリジェンスを活用することで、攻撃グループ(敵)を研究してインテリジェンスを作成し、その情報をもとにインシデント対応を行い、自組織(己)をより深く理解することができます。こうしたPDCAを回しながら、攻撃者に出し抜かれないセキュリティ組織が構築できると考えています。 ...
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