6章オブジェクト

オブジェクトはJavaScriptの基本となるデータ型です。これまでの章でも何度も紹介してきました。オブジェクトはJavaScript言語にとって非常に重要なものですので、オブジェクトがどのように動作するかを詳細に理解することが重要です。この章で、オブジェクトについて詳しく説明します。この章では、オブジェクトの概要から始めて、節を分けて、オブジェクトの作成や、オブジェクトのプロパティの読み出し、設定、削除、テスト、調査について学んでいきます。プロパティについて説明した後は、オブジェクトの拡張、シリアライズ、重要なメソッドの定義方法について紹介します。最後に、ES6以降での新しいオブジェクトリテラル構文を説明します。

6.1 オブジェクトの概要

オブジェクトは複合型のデータ型です。複数のデータ値(基本型値や、ほかのオブジェクト)を1つにまとめて、名前によってデータ値を保存したり、読み出したりできるようにするものです。つまり、オブジェクトは順序付けされていないプロパティの集合であり、それぞれのプロパティは名前と値を持ちます。プロパティ名は一般的には文字列ですので、文字列を値にマッピングするものが、オブジェクトと表現することもできます(ただし、§6.10.3で説明するように、プロパティ名はSymbolにすることもできます)。文字列から値へのマッピングには、さまざまな名前が付けられています。「ハッシュ」や「ハッシュテーブル」、「辞書」、「連想配列」という名前のデータ構造をご存じの方もいるのではないでしょうか。ただし、オブジェクトは、単に文字列と値をマッピングするだけのものではありません。JavaScriptでは、オブジェクト自身のプロパティ以外に、ほかのオブジェクトからプロパティを継承することもできます。 ...

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