8章辞書と集合

辞書の中の単語の綴りが間違っていたら、

正しい綴りはどうすればわかるのか?

──スティーブン・ライト

8.1 辞書

 辞書はリストに似ているが、要素の順序が管理されていないので要素を選択するときに0や1などのオフセットは使わない。代わりに、個々のバリュー(値)に一意なキーを与える。キーは文字列の場合が多いが、Pythonのイミュータブル型なら何でもよい*1。ブール値、整数、浮動小数点数、タプル、文字列、その他これからの章で扱う型だ。辞書はミュータブルなので、キー/バリュー要素を追加、削除、変更できる。配列やリストしかサポートしていない言語を使っていたプログラマなら、辞書はきっと気に入るだろう。

*1 監訳注:正確にはハッシュ可能なオブジェクトである。タプルの場合、すべての要素がハッシュ可能な要素からなる場合のみ、ハッシュ可能である。

ヒントや提案、興味深い事柄に関する補足
ほかの言語では、辞書は連想配列ハッシュハッシュマップなどと呼ばれている。Pythonでは、辞書をdictと呼ぶこともある。

8.1.1 {}による生成

 辞書は、key : valueのペアをカンマで区切って並べ、波括弧({})で囲めば作れる。もっとも単純な辞書は、キー/バリューペアを持たない空辞書である。

>>> empty_dict = {}
>>> empty_dict
{}

 アンブローズ・ビアス(Ambrose Bierce)の『悪魔の辞典』からの引用を使って小さな辞書を作ってみよう。

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