11章tailコマンド
胎生期のクジラから尻尾のないサルまで
—— They Might Be Giants, "Mammal" (1992)
本章では、「4章 headコマンド」の逆バージョンであるtail
を実装します。tail
は、1つ以上のファイルまたは標準入力の末尾の数バイトか数行(デフォルトでは末尾の10行)を表示するコマンドです。本章のプログラムでも不正な入力に対処する必要があり、場合によってはUnicode文字の表示がおかしくなることもあります。tail
では標準入力も扱えますが、現在のRustでは標準入力を処理する方法に制限があるため、今回実装するプログラムでは通常のファイルだけを対象にします。
本章では、以下の内容を学びます。
once_cell
クレートを使って、正規表現を静的変数として作成する方法- ファイルハンドル内の行やバイト位置を移動する方法
where
句を用いて、型に複数のトレイト境界を指定する方法- Cargoでリリースバイナリをビルドする方法
- 実行時の性能を比較するためにプログラムをベンチマークする方法
11.1 tailの動作
まずは、BSD版のtail
に対するマニュアルページの一部を見て、今回のプログラムがどのように動作すべきかを確認しましょう。今回はこれらの機能の一部だけを実装します。
TAIL(1) BSD General Commands Manual TAIL(1) NAME tail -- display the last part of a file SYNOPSIS tail [-F | -f | -r] [-q] [-b number | -c number | -n number] [file ...] DESCRIPTION ...
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