3章意味のあるサービスレベル指標の開発
Alex Hidalgo
信頼性へのサービスレベル目標(SLO)に基づくアプローチを採用するうえで、最も重要なたった一つの点は、SLOがまったく関与していないことです。サービスレベル指標(SLI)が、このプロセスやシステム全体の中での重要な部分です。その理由はいくつかありますが、どのような理由であっても、SLOに基づくアプローチによって信頼性の高いサービスを実現することの最終目標は、人々を満足させることにあります†1。時間をかけて意味のあるSLIを開発すれば、多くの立場の人々を満足させられます。
[†1] 残念ながら、コンピューターを基盤とするサービスの中には、この世の中に害を及ぼすものが数多く存在します。兵器システム、大量監視システム、人種偏見に満ちた機械学習アルゴリズムなどです。これらのサービスが信頼を受け続けている間は、機械が人間の状況を改善することは限られます。これらにどう対応すべきかについての倫理上の懸念は、本書の対象範囲を逸脱しますが、重要なことなので一言触れておきます。
SLIは、信頼性スタックの基礎部分です。SLIが意味のあるものでなければ、理にかなうSLOの目標値も、役立つエラーバジェットも設定できません。このスタックが強固な基礎の上に構築されていないと、その全体が役に立たないのです。求められているのは、SLOに基づくアプローチによって得られるデータを使用して、意味のある議論や意思決定がなされることです。このスタックの基礎部分の計測が悪いと、使用する良いデータを得られません。意味のあるSLIは、「ユーザーの観点から見てサービスがどのように動作しているかを示すメトリクスである」と、1章で定義したことを思い出してください。このメトリクスがこのスタックの他の階層を上にたどって行き、生成したデータを使用することで、意味のあるデータ駆動型の意思決定を下せるのです。 ...
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