4章不確実性を探索して機会を見つける

ランプを作り出したのは暗闇だった。コンパスを作り上げたのは霧だった。探索に駆り立てたのは空腹だった。

ヴィクトル・ユーゴー

本章では、3章で説明した極めて不確実な状況(特に新しいビジネスモデルや製品を考えるとき)における「機会の探索」の原則を支えるプラクティスを説明します。ビジネスの仮説をすばやく作り、課題に関する共通理解を生み出し、ビジョンを組織内のステークホルダーに賛同してもらい、協力を得るために、「発見」の概念を紹介します。

顧客開発プロセスで特定・実証されたビジネス課題を解決するために、仮説の立案と検証を行うための具体的なツールやテクニックも紹介します。

それから、「作ることができるか?」ではなく「作るべきか?」の疑問に答えるために、科学的で規律のある、エビデンスにもとづいた手法の使い方を説明します。

MVPを使って、安全に失敗する実験を作ることで、仮説にある最もリスクの高い前提をテストして、その裏付けとなる実験データを生成し、ピボットするか、辛抱するか、中止するかを決定する方法を説明します。SFに頼るのではなく、エビデンスにもとづいた投資およびポートフォリオ管理の基盤を作ることが目的です。正しいものを正しいときに作ることで、機会を活かし、価値のないアイデアに時間をムダにしないようにします。

4.1 発見

発見」とは、タイムボックスのなかですばやく繰り返す活動の集合です。これは、デザイン思考とリーンスタートアップのプラクティスおよび原則を統合したものです。新たな取り組みにおいては、探索フェーズのはじめに集中的に使用します。

著書『Lean UX』において、ジェフ・ゴーセルフとジョシュ・セイデンはこう言っています†1

デザイン思考は、ソリューション指向のアプローチをとり、問題解決や、エンドレスなイテレーションに共同で取り組み、柔軟に経路を変更しながら完璧さを目指すというものです。Lean ...

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