1章基本事項の紹介と概要
データベース管理システム(DBMS)は、さまざまな目的で利用されます。たとえば、頻繁にアクセスされる一時的なホットデータに使用されたり、長期保存を前提としたコールドストレージとして用いられることがあります。また、複雑な分析クエリを可能にしたり、キーバリュー型のアクセスを提供したり、あるいは時系列データの格納に最適化されていたり、大容量でファイル格納などに用いられるバイナリラージオブジェクト(BLOB)を効率的に格納したりする場合もあります。これらの相違点を理解し、区別するために、最初に簡単な分類を示し、概要を説明します。これは、さらに詳細な議論を理解するうえで役立ちます。
専門的な用語は、完全な文脈の中で使用されていないと、曖昧で理解するのが困難である場合があります。たとえば、カラムストアとワイドカラムストアは、相互にほとんど、あるいはまったく関連性がありませんが、それらをどのように区別するかや、クラスタ化インデックスと非クラスタ化インデックスがインデックス構成表とどのように関連するかなどです。この章では、これらの用語の曖昧性を排除し、正確な定義を見い出すことを目指します。
最初に、データベース管理システムのアーキテクチャの概要(「1.1 DBMSアーキテクチャ」)を説明し、システムコンポーネントとそれらが果たすべき機能について検討します。その後で、さまざまなデータベース管理システムの違いを、ストレージメディア(「1.2 メモリベースのDBMSとディスクベースのDBMS」)とレイアウト(「1.3 列指向DBMSと行指向DBMS」)の観点から検討します。
これらの2つのグループは、データベース管理システムの完全な分類ではなく、これら以外にも分類方法は数多く存在します。たとえば、DBMSを以下の3つの主要なカテゴリにグループ分けしている資料もあります。 ...
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