12章アンチエントロピーと情報散布
本書でこれまでに議論した通信パターンの大半は、ピアツーピアか一対多、つまりコーディネータとレプリカのいずれかでした。システム全体に渡ってデータレコードを確実に伝播するには、伝播元のノードが利用可能で、他のノードと通信ができる必要があります。しかし、これらの通信パターンでは、スループットは単一のマシンに制限されます。
高速で信頼性の高い伝播は、データレコードにはあまり適用できないかもしれませんが、メンバーシップ情報(ノードの参加と離脱)、ノードの状態、障害、スキーマの変更などのクラスタ全体に渡るメタデータにとっては、より重要です。この情報が含まれるメッセージは、一般的に頻度が少なく小さいものですが、可能な限り、高速で確実に伝播される必要があります。
このような更新をクラスタ内のすべてのノードに伝播するには、一般的に以下3つのアプローチのいずれかを利用します[DEMERS87]。これらの通信パターンの概要を図に示すと、図12-1のようになります。
- a)1つのプロセスから、その他すべてのプロセスへブロードキャストで通知します。
- b)定期的なピアツーピアの情報交換。ピア同士は互いに接続し、メッセージを交換します。
- c)連携ブロードキャスト。メッセージを受信したプロセスがブロードキャストする立場となり、より高速で確実な情報の拡散に貢献します。
他のすべてのプロセスにメッセージをブロードキャストすることは、もっとも単純なアプローチであり、クラスタ内のノードの数が少ないときには十分に機能します。しかし、大規模なクラスタでは、ノードの数が多いために ...
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