訳者まえがき
サッカーに古いも新しいもない。あるのは、良いサッカーと悪いサッカーだけだ。
ACミランで名ディフェンダーとして活躍したマルディーニ選手の言葉です。サッカーを真に理解しているプレイヤーは、ポジションに縛られず、多くのことを成し遂げます。相手にプレッシャーを与え、空いたスペースがあれば走り込み、時には前線に攻め上がってゴールも狙います。そのすべては、チームの勝利のためです。
私たちが働く組織も、多くの点でサッカーに似ています。企業にとってかけがえのないデータを管理し守護するDBREのポジションはディフェンダーに、そしてサービスのSLO違反が失点にあたります。失点を防ぐことは依然として最優先事項であり、本書でもSLOの重要性があちこちで強調されています。そのうえで、鉄壁の守備だけでなく、後方からフィールドを俯瞰し攻めにも参加する、いわばリベロのような存在が現場にいたら、それは例外なく強いチームです。従来のDBAからDBREへと進化を促す著者2人の理想も、これと重なるのではないでしょうか。
サッカーのフォーメーションや戦術が時代とともに変化するように、テクノロジーの世界でもアーキテクチャやソフトウェアは局面ごとに移り変わっていきます。ただ、核となる考え方がどこから来てどこへ行くのかを理解しておけば、実践に応用することはそれほど難しくはありません。冒頭のマルディーニ選手の言葉を借りれば、テクノロジーもその新旧ではなく優劣によって判断されるべき、といえるでしょう。本書は、いわばデータベースの温故知新を通し、その核となる考え方を紹介するものです。
では、核となる考え方とは何でしょうか。もうおわかりでしょう。リライアビリティ(Reliability)です。長期的に安定した結果を出すために、どのようにリライアビリティに向き合っていくべきか、その答えが本書に記されています。翻訳を進めていくにつれて、著者2人のリライアビリティの本質に迫ろうとするその姿勢に、日本人である私は ...
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