訳者まえがき
本書は、James Stanier著『Become an Effective Software Engineering Manager』(ISBN:978-1680507249)の全訳です。原著の誤記や誤植などについては著者に確認して一部修正しています。
今さら言うまでもないことですが、世の中の変化がどんどん速くなり、企業が存続するためには、顧客が満足するプロダクトやサービスをすばやく継続的に提供することが求められるようになりました。
このような環境では、事前に問題や解決策が分かっていることよりも、問題や解決策がわからないことに試行錯誤や探索しながら取り組む割合が増えていきます。つまり仕事の内容ややり方が変わってきているのです。仕事の内容ややり方が変われば、そこに携わる人をマネジメントする方法も変わります。
答えが分かっているものを効率的に終わらせることが求められた時代では、マネージャーに求められていたのは、いかに従業員を無駄なく効率的に働かせて、短い期間に安いコストでたくさんの物を作れるようにするかでした。マネージャーは多くの知識を持つ司令塔で、従業員はマネージャーが考えた計画に従って動く駒のようなものだったのです。
しかし前述のとおり試行錯誤や探索が必要となる複雑な状況では、このようなやり方は機能しません。複雑な状況においてはマネージャーを含めて誰も答えを持ち合わせていません。したがって、チームに目的を与え、チームが自律的に機能し、成長を続けながらチーム自身で答えを見つけられるようにしなければいけません。マネージャーの役割はまさに機能するチームを作ることに他ならないのです。
本書では、エンジニアリングチームのマネージャーに向けて、マネージャーとしての心構え、日々のふるまい、部下との関係づくり、採用や評価、情報の扱い方、組織との関わり方、キャリアについての考え方など、日々の活動に関係がある話題を網羅的に扱っています。訳者の1人(吉羽)はある外資系企業でマネージャーとして働いた経験がありますが、当時社内で見聞きした内容や教育を受けた内容と本書で紹介している内容には多くの共通点があります。日本においては、マネージャーになるときに包括的な教育を受けることはまれですが、もしそのような教育があるなら含まれるであろう内容がそろっています。これからマネージャーになる方や、マネージャーになって日が浅い方はまずは全部読んでみてください。すでにマネージャーとして長く活動されている方は、日々の活動のなかで随時必要なトピックを参照するのがよいでしょう。 ...
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