高リスク分野のための機械学習 ―責任あるAI構築のための実践アプローチ
by Patrick Hall, James Curtis, Parul Pandey, 高江洲 勲, 伊東 道明, 園田 道夫, 北條 孝佳, 石川 太一
訳者まえがき
本書を手に取っていただき、ありがとうございます。
近年、機械学習は、私たちの社会の隅々にまで浸透し、これまでにない利便性と効率性をもたらしています。金融、医療、採用、さらには司法といった、人々の生活に重大な影響を及ぼす「高リスク」な領域においても、その活用は急速に進んでいます。しかし、その一方で、私たちは機械学習アルゴリズムが引き起こす誤判断や予期せぬ差別、プライバシーの侵害、セキュリティの脆弱性といった、無視することのできないリスクにも直面しています。
本書『高リスク分野のための機械学習』は、こうした課題に正面から向き合うための、「羅針盤」となる一冊です。原著のPatrick Hall氏、James Curtis氏、Parul Pandey氏は、機械学習を高リスク領域に適用する際に生じるリスクを管理し、信頼できるシステムを構築するための理論と実践的なアプローチを、豊富な事例とともに示しています。
私たちが本書の翻訳を希望したのは、日本においても「責任あるAI」の実現が、喫緊の課題となっていると考えたからです。欧州のAI規則に代表されるように、AIの社会実装における透明性や公平性、安全性に対する要請は世界的な潮流となっています。企業や組織が社会からの信頼を得て、持続的にAIを活用していくためには、技術的な精度を追求するだけでは不十分であり、本書が提唱するように、開発の初期段階からリスクを予測し、その影響を評価・管理する文化とプロセスを組織内に根付かせることが不可欠です。
本書の魅力は、その徹底した実践性にあります。単なる概念論に終始することなく、以下のような具体的なテーマを、Pythonのコード例などを交えながら深く掘り下げています。
- リスク管理:NIST(米国国立標準技術研究所)のAI ...
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