訳者まえがき
本書は、Amazonのレビューなどで高い評価を得ている『High Performance Python』の全訳です。本書の特色は、「こう書いたほうが速い」といった、いわゆる小手先のテクニックの紹介にとどまらず、マルチコア・マルチCPUの活用法や、コンパイラ、ライブラリ、近似計算といった、抜本的に高速化・省メモリ化する手法をたっぷりと紹介している点にあります。高性能なプログラムの書き方だけでなく、高性能なシステムの作り方を総合的に学ぶことができます。
いわゆる小手先テクニックについては、リストとタプル、辞書と集合、イテレータとジェネレータの効率のよい使い方について学べます。それに先駆けて、プロファイリングに基づいて最適化すべき箇所を特定することと、単体テストでデグレード(修正によりバグが発生すること)を防ぐこと、という重要な点を押さえています。本書がただのテクニック本とは一線を画し、本格的な実用書であることがわかります。
コンパイラやライブラリは進化が激しいので、今後もよりよいものが出てくる可能性があります。しかしながら、本書で紹介しているCythonやNumPy、PyPyは、かなり成熟しており、さまざまなライブラリやシステムの基盤として幅広く使われているため、今後も陳腐化することはないでしょう。本書記載のテクニックは長く使えるものと思います。
12章のケーススタディーを読めば、プロトタイプから実用システムへすばやく開発するのにPythonの設計思想がいかに役立っているのかがよくわかります。さまざまな外部システムと結合し、必要に応じて段階的に最適化していくという戦略が具体的に記述されており、現場で鍛えられた知識を学ぶことができます。金融工学、ビッグデータ、機械学習、人工知能といったバズワードの変遷の背後には、PythonとNumPyによる高度な行列計算とシステム連携の発展がありました。いかに大量のデータを高速に処理できるか? ...
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