1章イントロダクション
かつてはウェブが静的なコンテンツを持つページだけで構成されていた時代もありました。グラフィックスは埋め込まれた画像だけです。しかし時が過ぎ、アプリケーションへの要求は次第に大がかりなものになり、それに応えることが限界に達し始めます。強力なインタラクティブ性がアプリケーションのユーザー体験の一部としてますます重要になり、最終的にはこれらの要求に応えられるようにと完全にプログラミング可能なグラフィックスアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を求める声が限りなく大きくなりました。2006年にセルビア系アメリカ人のソフトウェアエンジニアVladimir Vukicevicが、当時登場したばかりだったHTMLのcanvas要素から利用できるOpenGLのプロトタイプに取り組み始めました。彼はそれをCanvas 3Dと呼んでいました。この作業がきっかけとなり、2011年3月に、OpenGLに関する仕様を管理している非営利組織のKronos Groupが、ウェブブラウザからGPUにアクセスできるWebGLの策定を開始しました。
ウェブで3Dグラフィックスを描画するために、すべてのブラウザエンジンが協力して、組み込みシステムを対象としたクロスプラットフォームのグラフィックスAPI、Open GL ESに基づいた標準であるWebGLを作成しました。これは開始点としては正しかったと言えます。というのも、ほとんどのブラウザエンジンはOpenGLをサポートしたシステム上で動作していたため、同じAPIを簡単に実装できたからです。
WebGLはAppleのiPhoneやiPadのようなデバイスを対象としたOpenGL仕様であるOpenGL ES 2.0を元にして始まりました。しかし仕様が進化するにつれて、さまざまなOSやデバイスへの移植性を重視するという目標はそれほど重視されなくなりました。ウェブベースのリアルタイムレンダリングというアイデアにより、ウェブベース3D環境の可能性に新しい世界が拓かれたからです。ウェブブラウザはどのような環境でも動作するため、今ではデスクトップだけでなくスマートフォンやタブレットのようなモバイルデバイスでもさまざまな種類の3Dアプリケーションを実現できます。ウェブ開発者がJavaScriptから直接OpenGL級のグラフィックスにアクセスでき、他のHTMLコンテンツと3Dを自由に組み合わせられるようになれば、ウェブゲーム、教育、トレーニングアプリケーションにおいてこれまでに見たこともないようなことが可能になると、Khronos ...
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