LLMのプロンプトエンジニアリング ―GitHub Copilotを生んだ開発者が教える生成AIアプリケーション開発
by John Berryman, Albert Ziegler, 服部 佑樹, 佐藤 直生
4章LLMアプリケーションの設計
前の2つの章で、これから本書で学ぶ内容の基礎を固めてきました。「2章 LLMを理解する」では、LLMの動作の仕組みを詳しく解説し、その本質は「トークンを1つずつ予測してコンテンツを補完していくモデル」であることを明らかにしました。「3章 チャット形式への移行」では、そのLLMを基盤としてチャットAPIがどのように構築されているのかを説明しました。APIレベルでの工夫と適切なファインチューニングによって、ドキュメント補完モデルは「ユーザーと仮想アシスタントの対話」を補完するモデルへと進化したのです。つまり、チャットモデルの本質は依然としてドキュメント補完モデルであり、ただ扱うドキュメントがトランスクリプトという形を取っているだけなのです。
これからは、皆さんが所属する組織やユーザーの課題を解決するためのLLMアプリケーションを構築するために必要な知識を、すべて学んでいきます。本章は、そうした実践的な知識への入り口となります。ここでは「LLMアプリケーション」について掘り下げていきますが、これは「ユーザーの問題ドメイン」と「モデルのテキストドメイン」を橋渡しする変換レイヤとして機能します。さらに重要なのは、この変換レイヤが「問題解決」という明確な目的を持って機能するという点です。
4.1 ループの仕組み
図4-1では、LLMアプリケーションを「ループ」として表現しています。つまり、ユーザーとモデルの間で行われる双方向のやり取りを示しているのです。モデルとユーザーでは、それぞれが活動するドメインが大きく異なることがよくあります。ユーザーの場合、たとえばメールを書いていて、自分の意図を正確に伝えるための適切な表現を探しているかもしれません。あるいは、グループ旅行の計画を立て、航空券を予約し、宿泊先を確保するといった、より複雑なタスクに取り組んでいるかもしれません。さらには、ユーザーがLLMアプリケーションと直接やり取りをしないケースもあります。たとえば、定期的な分析タスクを事前に設定しておき、新しいデータが利用可能になるたびにLLMアプリケーションが自動的に分析を実行するような場合です。このように、ユーザー側での活動は実に多様なバリエーションを取り得るのです。 ...
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