LLMのプロンプトエンジニアリング ―GitHub Copilotを生んだ開発者が教える生成AIアプリケーション開発
by John Berryman, Albert Ziegler, 服部 佑樹, 佐藤 直生
5章プロンプトのコンテンツ
新しいLLM駆動の書籍推薦アプリケーションを作っているところを想像してみてください。競争はとても激しく、すでに無数の書籍推薦アプリケーションが存在しています。それらの多くは、ユーザー同士の利用パターンを比較しておすすめの書籍を導き出すような、協調フィルタリングなどの高度に数値的な手法に依存しています。
しかし、LLMはこうした領域に新しい価値をもたらす可能性があります。なぜなら、従来のかたくなで計算重視の推薦アルゴリズムとは異なり、LLMはユーザーに関する文章データを読み込み、人間に近い常識的な推論を使って推薦を行えるからです。これはあたかも、すべてのパブリックインターネット上の書評を端から端まで読んでしまった人間が、書籍をおすすめしてくれるようなイメージです。
実際にどんな感じになるか、ちょっと見てみましょう。図5-1は、ChatGPTによる2つの書籍おすすめの例です。最初の例では、私が最近読んだ本、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』とマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』の情報だけを与えています。従来の推薦システムでも使われる「過去に読んだ本」の情報に相当するわけです。その結果出てきたおすすめがハーパー・リーの「アラバマ物語」なのですが、これはそこまで悪い提案ではありません。
しかし、ここからがLLMの力の見せどころです。図の右側では、私の属性や本以外の好み、最近の体験といった、いろいろなテキスト情報をさらに追加してみました。すると、LLMはそれらを統合しつつ常識的に推論し、より「ずっと」的を射た魅力的な提案をしてくれます。ここでは、更新後のおすすめ結果に、私の興味により深く関連するコンテンツが含まれています。
図5-1 ChatGPTに本の推薦を依頼する場合:コンテキストなしの場合(上)と個人的なコンテキストを追加した場合(下)の比較 ...
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