訳者まえがき
第2版へのまえがき
本書は『プログラミングRust』の第2版となります。原著の第2版は2021年6月に出版されましたが、Rust 2021エディションが10月に発表されたのを受けて、11月に第2版の第2リリースが出版されています。本書はこの第2リリースに追従したものとなっています。
原著の初版から4年が経過しましたが、その間Rustへの注目は高まる一方で、着実に次世代のシステム開発言語としての地歩を固めてきました。Windows OSの一部をRustで書くことが試みられていますし、Linuxのカーネル開発の第2言語としてRustを採用しようという動きもあるようです。
この4年間でRustのバージョンは1.17から1.56まで上昇しましたが、言語の本質的な部分には大きな変更はありません。これはRustが十分に成熟していることを示していると言えるでしょう。コンパイルを妨げるような大きな変化は、バージョン1.27でdynキーワードが導入されたことぐらいです。
だからといってRustが停滞しているということはまったくなく、6週間ごとのリリースが続けられています。標準ライブラリの開発も活発に続けられており、続々と安定化されています。また、地味ではありますが、変数の生存期間を推定するアルゴリズムも改良され、よりコードが書きやすくなっています。大きなトピックとしては、バージョン1.39で導入された非同期プログラミングへの対応が挙げられます。本書では20章で詳細に説明しています。
言語エコシステムの観点では、バージョンと直交する「エディション」という概念(「8.1.1 エディション」参照)が導入され、互換性を維持しながら言語拡張を行うことが容易になりました。
開発体制にも大きな変化がありました。Rustの開発母体であったMozilla社の経営が思わしくなく、2020年8月に大規模なリストラが発表され、Rust開発への影響が心配されました。しかし、2021年2月にAWS、Huawei、Google、Microsoft、Mozillaの5社によるRust ...
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