監訳者まえがき
狭い門から入れ。何故なら、滅びにいたる門は広く、
道は広大であるからだ。そしてそこを通る者は大勢いる。
何故なら、生命にいたる門は狭く、道は細いからだ。
そしてそれを見出す者は少ない。
マタイ福音書7章13-14節(田川健三「新約聖書 訳と註」より)
本書はBill Lubanovic『Introducing Python, 2nd Edition』の全訳である。
私がPythonと出会ったのは大学院生の頃であった。学部の卒業研究ではMathematicaを活用していたが、大学院生になって組織改組が行われ、Mathematicaが使えなくなってしまった。自宅でも数学の研究を行うべく、オープンな数式処理ソフトウェアを探し求め、たどり着いたのがSageMathであった。Pythonの魅力にひかれたとか、素晴らしい言語だからとかではなく、必要に迫られて出会ったのがPythonであった。SageMathのインタフェースとして使い始めたPythonであるが、しだいに言語そのものが使いやすいことに気付いた。学部で学んだプログラミング言語はPascalとC言語であり、データ構造やアルゴリズムを学ぶためには適した言語であるが、日々の生活に活用できなかった。一方、Pythonは「バッテリー同梱」の通り最初から便利なモジュールが準備されていた。研究からちょっとしたプログラミングまでPythonを活用するようになった。SageMathにひかれてPython参りである。
Python参りにはガイドが必要である。当時は日本における知名度が低かった。ある人からは「Pythonはおもちゃの言語」と言われ、あるメディアでは「独自言語パイソン」なる珍妙な報道もされていた。先人の努力により、入門者向けの日本語ドキュメントはそれなりに充実していたが、その先のガイドがほとんど存在しなかった。題材であれ、言語であれ、入門した後の道は狭きものであった。もし、私がPythonを学び始めるタイミングで『入門 ...
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