詳解 Terraform 第3版 ―Infrastructure as Codeを実現する

はじめに

その昔、はるか遠くにあるデータセンタでは、「システム管理者」と呼ばれる強大な力を持ついにしえの人々が、手動でインフラをデプロイしていました。あらゆるサーバ、あらゆるデータベース、あらゆるロードバランサ、あらゆるネットワーク設定を、彼らが手動で管理していたのです。それは恐怖に満ちた暗黒の時代でした。ダウンタイムへの恐怖、想定外の設定ミスへの恐怖、遅くて壊れやすいデプロイへの恐怖、システム管理者が闇落ちしてしまった時（休暇を取った時など）に何が起きるかへの恐怖。しかしいいニュースもあります。DevOpsムーブメントの恩恵を受けて、これらの作業を上手にできるTerraformという方法があります。

Terraform（https://www.terraform.io/）は、HashiCorpによって作られたオープンソースツールで、シンプルな宣言型言語でインフラを定義でき、さまざまなパブリッククラウド（Amazon Web Service｟AWS｠、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、DigitalOceanなど）、プライベートクラウド、仮想化プラットフォーム（OpenStack、VMwareなど）にまたがるインフラを、いくつかのコマンドだけでデプロイしたり管理したりできます。Webページをクリックして回ったりたくさんのコマンドを実行したりする代わりに、次のようなコードだけでAWSにサーバを1台設定できてしまいます。

terraform { required_version = ">= 1.0.0, < 2.0.0" required_providers { aws = { source = "hashicorp/aws" version ...