訳者まえがき
本書は “Efficient Go: Data-Driven Performance Optimization” (2022, O'Reilly Media, Inc., ISBN9781098105716) の日本語訳です。
性能改善の型を覚える
本書を手に取ったみなさんは、少なからずプログラムの効率を高めたいと思っている方々だと思います。しかし、ここでみなさんに問いかけたいと思います。なぜ私たちはシステムの性能改善をするのでしょうか。本書を読めば性能改善に関して多くのことを学べますが、ここでは一歩引いて性能改善という活動が必要な理由について考えてみます。
本書は、オライリー・ジャパンの企画によって私が翻訳・監訳に携わった6冊めの書籍ですが、私にとってマイルストーンと呼ぶべき書籍となりました。私が直近で翻訳に携わった『オブザーバビリティ・エンジニアリング』(2023、オライリー・ジャパン、ISBN9784814400126)、『SLO サービスレベル目標』(2023、オライリー・ジャパン、ISBN9784814400348)の2冊に続いて、本書が加わることで、システムの性能改善というテーマにおいてマクロからミクロまで、全体の理解を深められる書籍が揃ったからです。したがって先の2冊を併せて読むことで、広い視点を保ったまま、プログラムの性能改善に取り組む意味が見えてくると思います。
性能改善は、もちろん機能として求められることもありますが、多くの場合では何かしらシステムの体験に問題が発生したときに、その解決のために行われるものです。そのシステムの体験の問題をどう定義するのか、そしてどう発見するのか、という重要な点が先に取り上げた2冊で詳解されています。しかし先の2冊では、システム全体での性能の問題を発見したあとの過程である、ボトルネックを持つコンポーネント自体の性能の改善方法については書かれていません。 ...
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