推薦の言葉
この本は、単にLinuxカーネルの内部構造を読み解くだけではなく、実際にカーネルモジュールやデバイスドライバを「書く」ことに重点を置いている点が、その最大の特色です。これまでのカーネル解説書が、例えば『詳解Linuxカーネル』のように深い理論的背景を提供しつつも、いざ自分で開発を始めようとすると具体的なステップが見えにくかったのに対し、本書は実践的なハンズオン形式で内部構造の理解を深めることができます。
Linuxカーネル開発の最初の大きなハードルは、自分の環境で動作する適切なビルドオプション(config)を選び出すことです。Linuxカーネルは、エンタープライズ、データセンター、ワークステーション、組み込み向けといった用途に応じて多機能に設定できる反面、デフォルトの設定がそのまま実用に適さないことも少なくありません。長年の経験を持つ開発者たちは「秘伝のタレ」のような独自のconfigを使いこなしているため、初心者にそのノウハウを伝えるのが難しい現状がありますが、本書はカーネルのビルド方法から設定のカスタマイズまで、丁寧に解説しており、この初期の障壁を乗り越える手助けをしてくれます。
それに加え特に素晴らしいと思っているのは各章に散りばめられたデバッグのノウハウです。Linus Torvaldsがかつて「kernel開発にデバッガが必要なのはアホだけだ」と主張したことは有名ですが、LKML(Linux Kernel Mailing List)で活躍する熟練のカーネル開発者は、ソースコードを見ただけでバグを見つけ修正できる人が多く、いざ初心者にデバッグツールの使い方を質問されると、戸惑ってしまうことが少なくありません。しかし、本書はKASAN(Kernel Address ...
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