3章カーネルモジュールの作成
本章ではLinuxカーネル開発の基本であるローダブルカーネルモジュールサブシステムについて学びます。モジュールサブシステムのアーキテクチャの基本を説明するとともにサンプルモジュールを作成したりします。
後半ではモジュールサブシステムについてさらに詳しく説明します。説明の過程で、Makefileのテンプレート、カーネルAPI/ABI、ユーザ空間とカーネル空間の違い、モジュールの自動ロード、セキュリティの懸念事項と対策についても説明します。最後にカーネルドキュメントとメインラインカーネルへの貢献について触れます。
3.1 カーネルの構造を理解する
本節ではユーザ空間とカーネル空間、主なサブシステム、カーネルを構成するコンポーネントについての基礎を学びます。詳しくは「4章 プロセスとスレッド」で説明します。
3.1.1 ユーザ空間とカーネル空間
現代的なCPUには複数の特権レベルがあります。例えばx86ベースアーキテクチャの場合は4つの特権レベルがあります。特権レベルはリングとも呼びます。最も強い権限を持つのがリング0で、最も権限が弱いのがリング3です。ARM-32(AArch32)は7つの実行モードを持ち、そのうち6つは特権モードです。ARM64(AArch64)は例外レベル(EL0からEL3)という概念を持ちます。最も強い権限を持つのがEL3で、最も権限が弱いのがEL0です。ただし、すべての現代的なOSは2つの特権レベルしか使いません。それぞれをカーネルモード、ユーザモードと呼びます。
これらのレベルはセキュリティと安定性のためにあります。Linuxの場合は、強い特権レベルでカーネルのコードを実行している状態をカーネルモードと呼びます。弱い特権レベルでプロセスを動かしている状態をユーザモードと呼びます。モードだけではなくカーネルとプロセスでは仮想アドレス空間が分かれています。 ...
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