訳者まえがき
本書には「機械学習(ML)の目的は、すでに存在するビジネス価値を加速させることです」という一文があります。これは誰もが納得する正論ですが、実際の現場に目を向けると、この本質が見過ごされているケースは少なくありません。「高精度なモデルを作ること」や「最新のAI技術を導入すること」は、本来は目的を達成するための手段であるにもかかわらず、いつの間にかそれ自体が目的となってしまっているような事例に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
本書では、MLを用いたサービスの開発において、組織のあらゆる階層が本質的な目的を見失わずに取り組むための考え方を、数多くの具体例とともに解説しています。
さらに本書は、MLやAIを活用したサービスは「一度作って終わり」ではなく、継続的な改善を前提とした運用が不可欠であるという点を強調しています。そのため、初期開発から本番環境への導入と運用までを見据えた実践的な方法論と実例コードを豊富に紹介しています。
多くの関連書では、特定の技術やフレームワークに焦点を絞った内容にとどまりがちですが、実際にMLOpsを構築・運用していくには、複数の技術を適切に組み合わせる力が不可欠です。本書はその点において、主要な技術やツールを幅広く取り上げ、実践的な知見を体系的に提供しています。
本書を手に取った皆様が、MLやAIの導入を単なるPoC(概念実証)に終わらせることなく、継続的に価値を生み出すサービスへと昇華させ、組織の成長につなげていかれることを心より願っています。
本書は有志がネット上で集まった勉強会「異業種データサイエンス研究会®」のメンバーにより翻訳されました。翻訳に際して寛大な理解と協力をしていただいた各メンバーとそのご家族の方々に感謝いたします。また、お忙しい中、査読に快諾していただき、詳細なコメントやアドバイスをいただいたデータブリックス・ジャパン株式会社の弥生隆明氏に心から感謝の意を表します。最後になりましたが、翻訳に際して非常にお世話になりましたオライリー・ジャパンの浅見有里氏に深く感謝いたします。 ...
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