Pythonクイックリファレンス 第4版

26章v3.7からv3.nへの移行

本書の内容はPythonの複数のバージョンにまたがっており、次のような重要な（そしてまだ進化中の）新機能を取り上げている。

• 順序を維持するdict
• 型アノテーション
• :=代入式（「セイウチ演算子」と呼ばれる）
• 構造化パターンマッチング

個人の開発者は、新しいPythonバージョンがリリースされるたびにそれをインストールし、互換性の問題をそのつど解決できるかもしれない。しかし、企業環境で作業している、または共有ライブラリのメンテナンスをしているPython開発者があるバージョンから次のバージョンへ移行するには、検討を重ねることと計画を立てることが必要となる。

本章では、Pythonプログラマの視点から、Python言語の変わりゆく姿について説明する（Python C APIを含め、Pythonの内部構造もいろいろ変化しているが、本章で扱う範囲を超えている。詳細については、各リリースのオンラインドキュメントの「What's New in Python 3.n」セクションを参照）。

26.1　Python 3.11までの重要な変更

ほとんどのリリースには、そのリリースを特徴付けるいくつかの重要な新機能と改善点が含まれている。特定のリリースをターゲットにする大まかな理由として、これらの点を考慮すると効果的である。表26-1は、多くのPythonアプリケーションに影響を与える可能性がある、バージョン3.6から3.11†1までの主な新機能と破壊的な変更点だけを抜粋したものだ。なお、より完全なリストは付録で確認できる。

表26-1：最近のPythonリリースの重要な変更点

バージョン	新機能	破壊的な変更
3.6	・dictでの順序の維持（CPythonの実装上の詳細として） ...