May 2026
Intermediate
188 pages
1h 42m
Japanese
よく心得ておかなければならない。ここでは厳しい二者択一を迫られている。すなわち、この生ある存在を道具にするか、それとも人間にするのかである。両立は無理である。人間は元来、あらゆる所作において、道具のような正確さで寸分たがわぬ精密さと完璧さを示すようにはできていない。もしあなたが人にその精密さを求め、指に歯車のような精密さを求め、腕でコンパスのように曲線を描かせようとするなら、あなたは彼らから人間性を奪うことになる。彼らの精神の活力はすべて、自らを歯車とコンパスに作り変えることに注がれてしまう。
…(中略)…
他方、もし働く者を人間として扱うのなら、道具にはできない。想像し、考え、為すに値する仕事をやってみようとし始めた途端、機械のような精密さはたちまち失われる。粗雑さが、鈍さが、不器用さが、次から次へと露わになる。彼らは、恥の上に恥を塗り、失敗の上に失敗を重ね、挫折の後に挫折を重ねるだろう。だが同時に、人としての全尊厳も現れ出る。そして、雲がその人の肩にかかるのを見てはじめて、その高さのほどを知るのである。
――ジョン・ラスキン『ヴェネツィアの石』
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