日本語版まえがき
よく社外の人からGoogleの製品開発の手法について聞かれる。自社に来て、社員の前で講演してくれないかと言われることも多い。話すことが仕事ではないし、お受けしていると際限なく自分の時間を取られてしまうので、ほとんどお断りしている。その度に心苦しさを感じていたのだが、これからは本書をお薦めすることとしよう。私が話したいと思うことはすべて網羅されているし、チームとして優れた製品を開発するための手法が詳しく解説されている。
シカゴオフィスにいるBrianとBenとは直接話したことはないのだが、さすがに同じ会社で働いているだけあり、書かれていることはどれも極めて腑に落ちる。同じ会社に勤務しているからと書いたが、おそらく読者の多くの方も納得いくような内容ばかりだろう。本書の素晴らしいところは、エンジニアリングの重要な要素であるにも関わらず、忘れられがちな存在であった「人間」に焦点を当てたところである。
本書の冒頭でミッションステートメントが提示される。この掲示は唐突に思われるかもしれないが、その理由は「2章 すばらしいチーム文化を作る」で明らかにされる。ミッションステートメントは、チームとして作り上げていくものを共有するために必須のものであり、本書もその例外ではないためだ。執筆は2人の共著者だけでなく、編集に関わる人間など複数人のチームによる共同作業だ。さらに本として出版された後は読者と本書の目的を共有する必要がある。そのために、何を作り上げるのかを暗黙の了解にするのではなく、常に思い起こせるようなシンプルな形で書き起こしたものがミッションステートメントだ。
私の関わっているChromeというブラウザにおいても、ミッションステートメント†1として、スピード(Speed)、セキュリティ(Security)、安定性(Stability)、単純さ(Simplicity)が定められている。わかりやすく、すべて“S”で始まる単語により構成されているため、絶対に忘れることはない。そして、どんなに魅力的な機能であっても、この4つの基本原則に反するものであれば、決してChromeに取り入れられることはない。 ...
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