
Chapter 8 クラウドにおける生成AIセキュリティ
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このように AIスタックのどの階層のサービスを選択するかによって、企業が担うべきセキュリティ対策の範囲は大き
く異なります。より上位の階層(アプリケーション層)を選択すれば、クラウドプロバイダー側が多くのセキュリティ責
任を担いますが、カスタマイズ性は制限されます。一方、より下位の階層(インフラ層)を選択すれば、高度なカスタマ
イズが可能になる反面、セキュリティ対策の多くを自社で担う必要があります。
こうした責任分担の考え方をより体系的に整理したものが「
AI版責任共有モデル」です。次項ではこのモデルを詳しく
解説し、各関係者(
AI開発者・AI提供者・AI利用者)がどのようなセキュリティ対策を担うべきかを明確にしていきます。
8-2-2 生成 AI 版の責任共 有モデル
クラウドの世界では「責任共有モデル」という考え方が定着しています。これは、クラウドプロバイダーとユーザーが
それぞれ異なる側面のセキュリティに責任を持つという概念です。たとえば、クラウドプロバイダーは主にクラウドイン
フラのセキュリティを担当し、ユーザーは主にデータやアプリケーションのセキュリティを担当します。
生成
AIサービスの登場により、この責任共有モデルは「AI版責任共有モデル」へと拡張されています。生成AI固有の
リスクに対応するためには、従来のモデルを発展させた考え方が必要になりました。
AI版責任共有モデルを次表にまとめます。次表は Azureの公式ドキュメントですが、どのクラウドプロバイダーによ ...