監訳者まえがき
以前、Node.jsにオープンソース貢献をしたことがある。変更そのものは、決して大きなものではなかった。しかし、そのプルリクエストには数十件ものコメントが寄せられた。一つ一つの指摘は細部に及びながらも、いずれも理にかなったものだった。そのやり取りを通じて強く印象に残ったのは、Node.jsのメンテナーたちが、自らのコードベースの品質に深い誇りと責任を持っているということである。
Node.jsは、多くの開発者が日々、当然のように利用している技術である。しかし、その「当然」は、数えきれない議論と検証、そして慎重な意思決定の積み重ねによって支えられている。小さな変更であっても決して軽んじない姿勢は、Node.jsが一時的な流行の道具ではなく、世界中のソフトウェアを支える基盤であることを物語っている。
現代のアプリケーション開発は、もはや一つの技術だけで完結するものではない。Webサーバーを立て、データベースに情報を保存し、APIと通信し、認証を扱い、メールを送り、非同期処理をさばき、必要に応じてAIの力を取り込む。そうした多様な要素を、一つの動くソフトウェアとして結び合わせるところに、開発の難しさがあり、同時に面白さがある。Node.jsは、まさにその結節点に立つ技術である。
AIがコードを書く時代には、何を学ぶべきかがかえって見えにくくなることがある。フレームワークやライブラリは次々に登場し、開発手法も絶えず変化していく。だからこそ、特定の流行に閉じることなく、状況に応じて応用できる基盤技術を身につけることの意義は、いっそう大きくなっている。
本書は、Node.jsを、さまざまなプロジェクトを形にするための実践的な道具として扱う。Webサーバー、API、スクレイピング、AIアシスタントの作成など、各章のプロジェクトはそれぞれ独立していながら、その背後にはNode.jsという共通の基礎がある。いま求められているのは、AIの書いたコードをただ受け取ることではない。目的を定め、構造を考え、動作を検証し、必要に応じて修正し、実際に使えるものへと仕上げる力である。本書が、読者の皆さんにとって、応用の効くソフトウェア開発の土台を築く一助となれば幸いである。 ...
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