ソフトウェアアーキテクトのエレベーター

第7章 すべてを疑え すべてを問う

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我々は、「誰も傷つけず、愚痴をこぼす」のだ！

アーキテクト・リドラー

よくある誤解だが、チーフアーキテクトは「普通の」アーキテクトよりも何でも知っている-そうでなければなぜ「チーフ」なのか？そのような考え方は、実は真実からかなりかけ離れている。それゆえ、私はよく「適切な質問を知っている人」と自己紹介する。映画『マトリックス』からもうひとつ引用すると、チーフアーキテクトを訪ねるのはアーキテクトを訪ねるのに似ている。

5つの理由

質問をすることは新しいテクニックではなく、トヨタ本番システムの一環として豊田佐吉が考案した「5つのなぜ」というアプローチで広く知られている。なぜそうなったのかを繰り返し問うことで、問題の根本原因を突き止めるテクニックだ。車のエンジンがかからない場合、「なぜ」と問い続けることで、スターターが回らないのはバッテリーが上がっているからだ、ライトを点けっぱなしにしていたからだ、ライトを点けたまま駐車することを警告するビーパーが鳴らないのは電子機器に問題があるからだ、と発見できるはずだ。だから、車をジャンプスタートさせる前に、問題が再発しないように電子機器を修理する必要がある。日本語ではこのメソッドを「なぜなぜ分析」と呼んでいる。従って、私は「5つのなぜ」は、早々にあきらめないためのガイドラインのようなものだと考えている。たった4つのなぜで実際の根本原因を特定したのであれば、きっと不正はしていないはずだ。

このテクニックは非常に有用であるが、人は自分の好みの解決策や仮定を答えに入れたくなることがあるため、規律が必要である。私は、生産停止の根本原因分析（ ）を行っている人が、2つ目か3つ目の質問に対して、"モニタリングが不十分だから"、次の質問に対しては "予算が足りないから "と繰り返し答えているのを見たことがある。車の例で言えば、"車が古いから "が等価性である。これは根本原因分析ではなく、ご都合主義あるいは言い訳主義である。この言葉は都市伝説辞典には載ったが、メリアム・ウェブスターにはまだ載っていない。

繰り返し質問することは人を少し困らせることがあるので、トヨタ本番システムについての参考文献を手元に置いて、これが広く採用されている有用なテクニックであり、あなたがただ気難しいだけではないことを強調するとよい。また、あなたが相手の仕事や能力に挑戦しているのではなく、あなたの仕事にはシステムや問題を詳細に理解することが必要であり、それによって潜在的なギャップやズレを発見できるのだということを相手に思い出させることも有効だ。

決断と前提を明らかにする理由

アーキテクチャレビューを実施する際、「なぜ」は有用な質問である。なぜなら、「なぜ」は、その決定に至った前提や原則だけでなく、下された決定（第8章 ）にも注意を向けさせるからである。あまりにも多くの場合、結果は「空から降ってきた」「神から与えられた」事実として提示される。決定を導いた前提を明らかにすることは、多くの洞察をもたらし、アーキテクチャレビューの価値を高める。アーキテクチャレビューは、結果を検証するだけでなく、その背後にある考え方や意思決定も検証する。この事実を ...