October 2026
384 pages
6h 14m
Japanese
Transformerと聞いて、まず大規模言語モデルを思い浮かべる方は多いでしょう。しかし、その応用範囲は、時系列予測、画像認識、画像・動画生成、音声処理、さらには行動の計画や意思決定にまで広がっています。こうした多様な技術を、共通する仕組みから理解し、実際のシステムづくりへとつなげていくこと。それが本書の主題です。
本書の魅力は、異なる分野の技術がつながって見えてくる点にあります。文章をトークンの列として扱う考え方は、画像をパッチに分割する方法や、音声を時間と周波数の情報として表現する方法へと展開されます。入力の表現やアテンションの働きに注目して読み進めることで、個々のモデルへの理解とともに、新しい技術を読み解くための視点も得られるはずです。
さらに本書は、モデルの仕組みから、そのモデルを組み込むシステムの設計へと議論を進めます。後半では、強化学習や推論時の計算資源の活用、ツールを使ってタスクを遂行するAIエージェントを取り上げます。そこでは、計画し、行動し、結果を確かめ、修正する一連の過程をどう設計するかが問われます。モデルの能力を引き出すうえで、周囲の仕組みが果たす役割の大きさを実感できるでしょう。
個々のモデルや開発ツールが変わっても、データの表現を考え、構造を理解し、目的に照らして設計を選ぶ力は、新たな課題に向き合う土台となります。本書の知識を、ご自身のデータや課題に引き寄せ、ぜひ手を動かして確かめてみてください。本書が、Transformerへの理解を深め、信頼して使えるシステムを築くための一助となれば、訳者として幸いです。
2026年8月
中山 光樹
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