訳者まえがき
本書は『Designing AI Interfaces: Design Principles for Creative and Autonomous AI』(O'Reilly Media)の全訳である。生成AIは、もはや一部の専門家だけが扱う技術ではなくなった。文章を書く、情報を探す、要約する、コードを書く、画像や動画を生成する。AIは、こうしたあらゆる人々の日常的な行為の中に急速に入り込みつつある。しかし、その急速な浸透ぶりとは裏腹に、我々はいまだに、AIをどのような存在として理解し、どのように利用すべきかについて、十分に整理できているとは言いがたい。
本書が扱う内容は、単にAIの技術的な仕組みではない。大規模言語モデルがどのように言葉を扱い、なぜ人はAIに人間らしさや知性を見いだしてしまうのか、そしてAIプロダクトに携わるデザイナーは、ユーザーの期待、誤解、不安、判断をどのように受け止め、解消すべきなのか。本書は、このようなAIをめぐる技術とユーザー体験の間に横たわる問題を、デザインの視点から丁寧に解きほぐしていく。
生成AIの出力は、ときに驚くほど自然で、説得力がある。しかし、出力が自然であることは、その内容の正確性や、モデルが本質的に理解していることを保証するものではない。AIは人間のように世界を理解しているわけではなく、膨大なデータの中にあるパターンをもとに、もっともらしい応答を組み立てている。デザイナーがこの性質を見誤ると、本来必要であるはずの説明や検証が不足し、その結果、ユーザーがAIを過信したり、逆に過度な不安を抱いたりすることにつながる。
本書の中心的なテーマは「AIに何ができるか」ではなく、「人はAIをどのように受け取り、どこで誤解し、どのような手がかりがあれば適切に判断できるのか」である。これは、AIを利用するすべての人に関わる共通のテーマであり、とりわけ、AIを組み込んだプロダクトやサービスをデザインする人々にとっては、避けて通れないものだ。 ...
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