3章入力:AI入力のデザイン
コンピューターに話しかけるとは、どういう意味だろうか。入力という概念は時代とともに変化し、技術の複雑さに伴いその意味も変わってきた。初期のコンピューティングサービスには非常に厳しい制約があり、使用するプログラムをコンピューターに指示する単純で定型化された入力しか受け付けなかった。そのため、ユーザーには高度な知識と技術スキルが求められた。
入力の起源は、コンピューターの黎明期にさかのぼる。1960年代、MITの研究者グループは、Multics(Multiplexed Information and Computing Service)と呼ばれるタイムシェアリング型のオペレーティングシステムを開発した。この実験的なプラットフォームは、階層型ファイルシステム、動的リンク、仮想メモリといった、今日の現代的なコンピューターでは当たり前となっている多くの概念を導入した。しかし、本章に関連するもっとも重要な成果は、むしろ単純なものであった。それはコマンドシェルである。Multicsが実際に動作しているコマンドルームの様子を図3-1に示す。
コマンドシェルとは、ユーザーが命令を文字で入力すると、コンピューターが応答するテキストベースのインターフェースである。たとえばlsやdirなどのコマンドを入力してEnterキーを押すと、シェルはその文字列を解釈し、対応するプログラムを実行し、入力したコマンドのすぐ下に結果を表示する。シェルは、人間の言語とマシンの処理との間の橋渡し役として機能し、入力されたコマンドを受け取り、ユーザーがどのプログラムを動かしたいのかを判断し、その結果を表示する。macOSのターミナル(図3-2)やWindowsのコマンドプロンプトを開いたことがあるなら、それはコマンドシェルの現代版をすでに目にしていることになる。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access