October 2021
Beginner to intermediate
344 pages
3h 53m
Japanese
「2章 人間による意思決定で生じ得るバイアス」では人間自身の認知バイアスを紹介しましたが、中でも大きな役割を果たしていたのが安定性バイアス(stability bias。「現状維持」を図らせることで、認知レベルでも身体レベルでも消費エネルギーを極力節約しようとするバイアス群)でした。ただ、これは人間に限られた現象ではなく、アルゴリズムも安定性バイアスを抱え込んでしまうのです。この章では、そうした「アルゴリズムの安定性バイアス」の中でもとくに重要なものに焦点を当て、どういった状況がそのようなバイアスを招く(悪化させる)のかを次の順序で説明していきます。
どのような標本を対象にするとしても、アルゴリズムそのものは、バイアスとは無縁であることを目指して開発されています(たとえば「1章 アルゴリズミックバイアスとは」で触れた最良線形不偏推定量(BLUE)という概念を思い出してください)。しかし「事情」が変わったらどうでしょうか。 ...