October 2021
Beginner to intermediate
344 pages
3h 53m
Japanese
ここまでアルゴリズミックバイアスのさまざまな側面を紹介してきました。その過程で明らかになったと思いますが、今、データサイエンティストの前には強大な難敵が立ちはだかっています。「難敵」とは、旧来の社会的慣習やそれにまつわるバイアス、上層部やユーザーからの横槍、質の悪いデータ、さらにはデータサイエンティスト自身の疲労、こうしたものすべてが合わさってアルゴリズムのバイアスを招いているという状況です。とはいえ、データサイエンティストには、モデルを慎重に選択することによりアルゴリズミックバイアスを阻止する力も備わっています。
この第IV部では、そんなデータサイエンティストがアルゴリズミックバイアスに対処するための手法やコツを紹介します。これまでの章よりも専門的な見地に立ち、よりテクニカルな事柄を検討していきます。
できるだけ現実に即して理解、応用していただけるよう、次の点を強調しておきましょう。アルゴリズミックバイアスは単独の敵ではありません。いくつもの敵が組織する軍団です。ですからモデルを構築する作業は、獰猛な虎や毒蛇、蚊など、ありとあらゆる脅威に対処しつつジャングルを一歩、また一歩と進んでいくようなものだと感じるでしょう。
しかも残念なことに、「これを持っていけば絶対大丈夫」という特効薬も万能の武器もありません。サバイバル法の説明会が開かれ(防虫スプレーや護身用ナイフなど)推奨の携行品リストを渡されるだけです。すべては自己責任。起こり得る事態には自分で対処しなければなりません。
第Ⅳ部は次の6つの章で構成されています。