ディープラーニング実践ガイド ―クラウド、モバイル、ブラウザ、エッジデバイス向けAIアプリ開発入門
by Anirudh Koul, Siddha Ganju, Meher Kasam, 足立 昌彦, 太田 満久, 新村 拓也, 藤原 秀平, 松田 実法, 牧野 聡
11章iOS上のCore MLでオブジェクトをリアルタイムに分類する
ここまでに紹介してきたディープラーニングのモデルは、デスクトップやクラウドそしてブラウザで実行されていました。セットアップが容易だという大きなメリットはあるのですが、すべてのシナリオに適しているというわけではありません。この章では、モバイルデバイスの上でディープラーニングのモデルを使って予測を行うための方法を見ていきます。
(リモートにあるサーバー上ではなく)ユーザーが持つデバイス側で計算を行うことには、さまざまなメリットがあります。
低遅延とインタラクティブ性
画像を送信してクラウド上で処理を行い、その結果を受け取るまでには(ネットワークの品質やデータの量にもよりますが)数秒の時間がかかります。そして、遅延はUXを悪化させます。この点に関しては数十年の研究によって実証されています。Jakob Nielsenは1993年に著書Usability Engineering(Elsevier)で、以下のように述べています。
●システムが即座に応答しているとユーザーが判断する時間の上限は0.1秒です。
●ユーザーの思考の流れが中断されずに保たれる時間の上限は1秒です。
●ユーザーが関心を保っていられる時間の上限は10秒です。
この20年後にGoogleは、モバイルブラウザのユーザーの半数はページの読み込みに3秒以上かかると閲覧をあきらめるという調査結果を発表しました。それだけでなく、遅延がわずか100ミリ秒増加するだけでAmazonの売り上げは1パーセント減少するとのことです。これはとてつもなく大きな損失です。処理をデバイス側で即座に行えるなら、UXをリッチでインタラクティブなものにでき、問題を大きく改善できるでしょう。Snapchatのレンズのようにディープラーニングのモデルをリアルタイムに実行すれば、ユーザーのエンゲージメントを高めることができます。 ...
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