訳者まえがき
本書をお手にとっていただきまして、ありがとうございます。本書は、トッド・ゴールディング氏の著作『Building Multi-Tenant SaaS Architectures』(O'Reilly Media, Inc. 2024)の全訳です。
原著者のトッド・ゴールディングは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のシニアプリンシパルパートナーソリューションアーキテクトとして、AWS SaaS Factoryのグローバルテックリードを務めるSaaSの第一人者です。AWS SaaS Factoryは、SaaSデリバリーモデルの採用または最適化を加速できるよう幅広いリソースを提供しています。私たち、日本でSaaSビジネスに関わるアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社の社員も、トッドがSaaS Factoryを通じて提供するSaaSビジネス戦略および技術戦略のベストプラクティスや、AWSでSaaS製品を構築するためのリファレンスアーキテクチャ、特別トレーニングをよく活用しています。本書は、トッドの長年にわたって培ってきたマルチテナントSaaSアーキテクチャの構築における原則、ベストプラクティス、そしてAWSアーキテクチャパターンが一冊に凝縮されています。日本語で書かれたSaaSのビジネス書籍は多数ありますが、技術書籍は初めてではないでしょうか。本書が、SaaSに関わるすべての人にとって、必携の一冊になれば、訳者としてこの上ない幸せです。
日本の市場においても、ソフトウェアのデリバリーモデルとしてSaaSを採用する企業は、近年急速に増えています。ある調査会社のレポートによれば、日本のソフトウェア市場の半分以上をすでにSaaSが占めており、その比率は右肩上がりに増え続けています。SaaSは、ソフトウェア企業の俊敏性を高め、より多くのイノベーションを起こし、スケーラブルな成長を促進する方法として期待されているだけでなく、利用者側のユーザーにとっても多くのメリットをもたらします。使いたいと思ったときにすぐに利用を始めることができ、構築や管理が不要で、頻繁にアップデートを享受できることで、ユーザーは手軽に多くのビジネス価値を実現することができます。こういった背景から、日本でもSaaSに対する期待が高まっているわけですが、一方で、すべての企業が「正しく」SaaSビジネスを運営できているわけではありません。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access