序文
名前を付けることが、対象を理解するための第一歩になります。
5歳になる私の息子も、他の子供たちと同じように雲を眺めるのが大好きです。数週間前、彼は雲には種類ごとに名前があるということを知りました。そしてギーク精神を発揮し、雲の名前を覚え始めました。巻雲、積雲、巻層雲、積乱雲、高層雲、レンズ雲など、私が知っている名前の雲をすべて覚え、他にもいろいろ覚えるようになりました。雄大積雲などといった名前を私は聞いたことがありませんでした。
息子は今や、空を見上げるとどの雲が何という名前か教えてくれるようになりました。同時に、今まで以上に細かい点にも気がつくようにもなりました。模様や色、高さ、動きなどに基づいて雲を区別し始めました。見分けるのが難しい種類の雲もありますが、彼にとっては問題にならないようでした。どんな雲が出ると雨になるかを、ある程度の正確さで予想したりもしています。
幼児なりのやり方で、彼は全体的な分析も始めました。「巻層雲は暖かいところにできる」とか、「雄大積雲は積乱雲になり、それから嵐がやって来る」といった指摘を述べるようになりました。
息子は雲の名前を覚えることを楽しんでいるようです。小さい子供というのは雲や恐竜、虫、人形、映画の登場人物など、好きなものに名前を付けたがるものです。子供たちの創造力は左脳の知識に限定されることはなく、大人の固定観念に左右されることもありません。息子は雲を積雲などと呼んでいますが、彼の目に見えているのは今もお城やアヒルやカリフラワーなどの形なのです。
このような思考様式は我々大人にも当てはまります。「インタフェースに見られるパターンを識別して名前を付けることによって、対象をよりよく理解できる」という考え方もここから生まれました。着目するべき対象を指示されれば、脳はより多くの細かな点にも気づくようになります。あるパターンに基づいたインタフェースのふるまいを知っていれば、そのパターンを利用しているソフトウェアのはたらききを予測できるようにもなるでしょう。また、パターンという新たな語彙を使って他者に考えを伝えることもできます。 ...
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