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Pythonではじめるオープンエンドな進化的アルゴリズム ―発散型の機械学習による多様な解の探索
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Pythonではじめるオープンエンドな進化的アルゴリズム ―発散型の機械学習による多様な解の探索

by 岡 瑞起, 齊藤 拓己, 嶋田 健志
October 2023
Intermediate to advanced content levelIntermediate to advanced
296 pages
4h 26m
Japanese
O'Reilly Japan, Inc.
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1章創造し続けるAIへ:オープンエンドな探索

1.1 人工知能の学習と目的関数の役割

人工知能(AI)は、オンラインショッピングでおすすめの商品を選び出したり、自動車の運転支援機能を通じて安全運転を実現したり、さらには医療分野で病状の診断を助けたりと、日常生活のさまざまな場面で私たちの身近に存在しています。これらのAIシステムは、特定の目的を達成するために設計されています。たとえば、オンラインショッピングのAIは、ユーザの過去の購入履歴や閲覧パターンに基づいて、おすすめの商品を提案する「目的」を果たすために動作します。

これらのAIシステムの設計には一般的に機械学習のフレームワークが用いられています。このフレームワークは、事前に与えられた正解データに近づくように、AI(具体的には機械学習モデル)を訓練する方法を定義しています。そのため、天気の予測から画像内の物体認識、映画の推薦、英語から日本語への翻訳といった幅広いタスクに適用することができます。AIは、与えられたデータから正解を予測し、予測値と正解の差が小さくなるように学習を進めていきます。

これらのアプリケーションやサービスがAI技術を用いて大きな成功を収めていることからもわかるように、このフレームワークは非常に強力です。そして、このフレームワークの中心にあるのが「目的関数」という概念です。目的関数は、AIが学習する際の目標を示し、それがモデルの性能を評価する基準となります。

1.2 目的型探索の限界

しかし、この方法には1つの大きな課題が存在します。それは「目的」をどのように設定するかという問題です。目的を適切に設定しないと、AIの学習は滞り、理想的なゴールに達することが難しくなります。

ここでロボットを例に挙げてみましょう。このロボットの目標は迷路のゴールに到達することとします。そして、このロボットが学習しているかどうかを評価するための指標となるのが目的関数です。たとえば、ロボットの位置とゴールとの直線距離が近いほど、性能を高く評価する(報酬を与える)ような目的関数を考えることができます。 ...

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ISBN: 9784814400003Publisher Website