5章共進化アルゴリズム
5.1 共進化とは
多様性を重視する発散的な探索を実現する品質多様性アルゴリズム、Map-Elitesを見てきました。しかし、Map-Elitesの探索範囲は、行動記述子によって既に定義されています。この範囲内を探索し尽くすと、新規性を求める能力が弱まり、探索は収束します。行動記述子によって定義された行動可能な範囲を探索し終えてしまうと、そこで探索は終わってしまうのです。たとえば、身長と高さで行動記述子を定義した場合、すべての身長と高さの探索を進めるうちに、新規性を求める力がどんどんと弱くなり、探索はやがて収束してしまいます。
一方、自然界を見てみると私たちが「行動記述子」として定義するような明確な特徴に基づく指標でのニッチの区切りは存在しません。では、指標なしで自然はどのように進化を持続させているのでしょうか。その答えの1つは「共進化」の仕組みにあります。
たとえば、キリンは頭頂が6メートルにも達する長い首を持っています。キリンの首の長さは、進化の過程で選択されてきた形質と考えられています[1]。キリンの祖先にあたる種の化石の首は短いこと、そして、キリンと同じ祖先を持つ近縁種であるオカピの首も短いことから、もともとは、キリンの首も短かったと考えられています。長い首のキリンが選択されて生き残ったのは、大きなアカシアの葉をエサとして独占的に摂取できるから、あるいは首の長いオスの方がメスをめぐる戦いに勝ってきたから、と諸説あります。いずれの説も、アカシアが高くなかったら、ライバルがいなかったら、キリンの首が選択されるというチャンスは生まれなかったかもしれません。進化しているものは、他のものが進化する機会を作り出します。オープンエンドな進化を実現するためには、この継続的な進化のプロセスが必要となるのです。キリンとアカシアの共進化に見られるのは、競争的な共進化のあり方です。競争に勝った個体に高い報酬を与えることが進化を促します。 ...
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