はじめに
Kubernetesへ捧げる言葉
プロセスを再起動するために午前3時に起きねばならなかったシステム管理者、あるいはノートPCで動いたのと同じように動かないのを確認するためだけに本番にコードをプッシュした開発者、あるいはホスト名が更新されていなかったせいで本番システムに向けて負荷テストをかけてしまったシステムアーキテクト。Kubernetesはそんな人たちから感謝されるでしょう。こういった経験は悩みの種であり、あってはならないことです。Kubernetesはこれらの問題を解決するために生まれました。Kubernetesの目的をひとことで言えば、分散システムを構築し、デプロイし、メンテナンスするタスクを根本的にシンプルにすることです。Kubernetesは、信頼性の高いシステムを構築する長い経験を元にして、その経験が大喜びとまではいかないまでも楽しいものになるようデザインされてきました。みなさんがこの本を楽しんでくれることを願っています。
この本を読むべき人
あなたが分散システムを初めて触るとしても、クラウドネイティブなシステムを何年もデプロイしてきたとしても、コンテナとKubernetesは、新しいレベルの速さ、機敏さ、信頼性、効率性を実現する手助けしてくれます。この本では、Kubernetesクラスタオーケストレータについてと、分散アプリケーションの開発、デリバリ、メンテナンスを改善するために、KubernetesのツールおよびAPIがどのように役立つのかについてを書いています。この本を最大限に使うのにKubernetesの使用経験は必要ありませんが、サーバベースのアプリケーションを構築してデプロイできた方がよいでしょう。ロードバランサやネットワークストレージといったコンセプトへの理解があればよいですが、必須ではありません。また、Linux、Linuxコンテナ、Dockerの経験はこの本を読むのに役立ちますが、これらも必須ではありません。 ...