3章知識を追加する:ベースライン
基盤モデルはクローズドシステムであり、訓練データによって制約される。したがって、多くの場合追加情報を与えなければならない。例えば、訓練時にはまだ発生していなかった最近の出来事に関することや、企業の機密情報や、基盤モデルの訓練者には入手できないような情報だ。
追加知識を用いてLLMを再訓練するのは非現実的だ。継続的事前学習(CPT)で基盤モデルに知識を追加することさえ難しい。1回の訓練コストですら高価過ぎるのに、情報は頻繁に変化するのでCPTを頻繁に行わなければならないからだ。そのコストは、数千万ドルに上ることもある†1。したがって、基盤モデルをそのまま使用し、実行時に知識を追加するほうがいい。
実行時に基盤モデルに追加情報を与えるためのキーとなるパターンは、Facebook AI Research(現在はMetaの一部)の研究者たちによる画期的な論文「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」(https://oreil.ly/zgAj8)で2020年に提案された。RAG(検索拡張生成)を用いると、基盤モデルを、訓練データによって制約されるクローズドなシステムから、オンデマンドで外部の知識を活用できるオープンなシステムへと変換できる。
3つのステップ(索引付け、検索、生成)から構成される複合システムとして、RAGを捉えるとわかりやすい。個々の構成要素をデプロイする必要があるが、各構成要素はカスタマイズ可能だ。したがって本章に関しては、他の章とは異なり(自分の問題に最も適したパターンを選ぶのではなく)すべてのパターンを順番に読むことを勧める(図3-1参照)。
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