はじめに
気象、株式市場、心拍。これらはいずれも、時系列を作り出します。多様なデータや将来予測に関心がある人は、時系列解析に関心があるということになります。
『実践 時系列解析』へようこそ。本書を手に取る人は、時系列データがありとあらゆるところに存在することを認識済みでしょう。ビッグデータのエコシステムが拡張するにつれ、時系列データの遍在性と重要性はますます高まっています。良きにつけ悪しきにつけ、センサやトラッキング機能は随所で使われており、結果として前代未聞の大量の高品質な時系列データが手に入るようになりました。時系列は、因果関係、トレンド、将来結果の可能性といった問題に利用できるため、独特の面白さがあります。本書では、このような問題に対処するために、時系列に対して最もよく適用される主要な手法を紹介していきます。
時系列データは、様々な学術領域や活用事例にわたって存在しています。時系列データの例は、顧客の購買履歴から、ナノエレクトロニクスシステムのコンダクタンスの測定値、人間の言葉のデジタル録音まで、実に多岐に及びます。本書で一貫して主張するのは、時系列解析は驚くほど多様なデータセットに対して適用できるということです。ある特定の順序に従う軸を持つデータならば何でも、たとえ軸が時間軸そのものでなくても、時系列解析の手法で分析できます。株価データや気象パターンといった典型的な時系列データはもちろんのこと、ワインのスペクトログラムなど、軸が「時間」ではなく周波数であるような一風変わったデータセットでも、時系列解析の対象となります。時系列はあらゆるところにあるのです。
本書の想定読者
本書は2通りの読者を想定しています。第1の多数派の読者層は、時系列データを取り扱った経験がわずかなデータサイエンティストです。業界のベテランや、ジュニアアナリストなどといった人がこれに当たります。より経験豊富なデータアナリストなら、各章の導入部分にある概念の説明は流し読みで構いませんが、時系列データの取り扱いに関するベストプラクティスや落とし穴などの解説が役に立つでしょう。本書は、各主題がなるべくそれぞれで完結するように書かれていますが、データアナリストとして日が浅い人は、全章を通しで学習するとよいでしょう。 ...
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