マスタリング・イーサリアム ―スマートコントラクトとDAppの構築
by Andreas M. Antonopoulos, Gavin Wood, 宇野 雅晴, 鳩貝 淳一郎, 中城 元臣, 落合 渉悟, 落合 庸介, 小林 泰男, 土屋 春樹, 祢津 誠晃, 平山 翔, 三津澤 サルバドール将司, 山口 和輝
付録Aイーサリアムフォークの歴史
ほとんどのハードフォークはアップグレードロードマップの一部として事前に計画されたものであり、たいていはコミュニティが合意した(つまり、社会的に合意された)アップデートです。しかし、中にはコンセンサスを伴わないハードフォークもあり、そのようなハードフォークはブロックチェーンの分裂を引き起こします。イーサリアムとイーサリアムクラシックの分裂を引き起こした事件はまさしくこのケースで、何が起きたのか以下で説明します。
A.1 イーサリアムクラシック(ETC)
イーサリアムクラシック(Ethereum Classic:ETC)は、イーサリアムコミュニティのメンバーが緊急で実施したハードフォーク(コードネーム「DAO」)を実装したあとに生まれました。イーサリアムは、2016年7月20日、ブロック高192万において、「The DAO」として知られているスマートコントラクトから取り出された約360万のイーサを取り戻すために、ハードフォークを通して、変則的な形でステートの変更を行いました。取り出されたイーサは盗まれたのであり、泥棒がそれらのイーサを手中に収めることになれば、イーサリアムのエコシステムだけでなくプラットフォーム自体の開発に対して致命的な影響を与えるであろうことは、ほぼすべての人の一致した見解でした。
あたかも「The DAO」が存在していなかったかのように、イーサをそれぞれの所有者に返却することは、技術的には容易なものでしたが、むしろ政治的な議論を引き起こすものでした。イーサリアムのエコシステムには、この変更に同意しない人々も大勢いました。不変性はイーサリアムブロックチェーンの基本原則であり、例外はないという信条を持っている人々です。彼らはイーサリアムクラシックと名付けられた元のチェーンを延ばしていくことを選びました。分裂そのものはイデオロギーに基づいたものでしたが、2つのチェーンはそれ以来、別個の存在となったのです。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access