2章自分たちの北極星を見つける
2.1 フレームワークの罠から逃れる
うちのやり方に口を出すな。出て行け。
経験豊富なアジャイルコーチがイギリスのある会社で変革に取り組んでいたときに言われた言葉だ。いったい彼は何をやらかしたのだろうか。
多くの会社と同じように、この会社もスピードと柔軟性をもたらすという言葉に惹かれて、あるアジャイルフレームワークを選んだ。フレームワークの説明にはピカピカの魅力的な言葉が並んでいた。やらなければいけない儀式はどれも簡単だ。儀式を書いてあるとおりにやりさえすれば、会社はこれまでになく速くかつ効率的になる。
だが、このアジャイルコーチは、これまでの経験も踏まえ、フレームワークのルールに文字どおりに従う気はなかった。ルールの意図を尋ねてからやらなければと思っていたのだ。「なぜこのフレームワークを選んだんですか?」、「フレームワークの導入のときに従う原則は?」、「今とどうやり方が変わるんですか?」。変革チームのメンバーは、このような質問をするのを避けていた。そして、答えがはっきりしていないのに、わかっていることになっていた。
6か月後、別のアジャイルコーチが状況の確認のために戻ってきた。状況はこんなだったそうだ。
メンバーは選んだ手法の「エキスパート」になっていました。やり方はまったく以前と変わってはいませんが、呼び名だけが変わっていました。「これまでの会議の代わりにこの会議をやります」。同じ会議で名前だけが違いました。「これまでのドキュメントの代わりにこのドキュメントを作ります」。同じドキュメントで名前だけが違いました。組織としての本質的な課題にまったく取り組んではおらず、オープンで透明性が高く、情報を得やすい文化に変えようという活動もまったく行われていませんでした。代わりに、これまでと同じ仕事を別の名前や別の専門用語でこねくりまわしていただけだったのです。 ...
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