付録BARKitによるARビューの実装法
高橋 憲一●株式会社カブク
本付録は日本語版オリジナルの記事です。本稿では、5章で作成したモンスター捕獲のARビューをAppleのARKitを用いて現実空間と絡み合うものにする方法について解説します。
B.1 ARKitについて
ARKitはAppleがiOS 11の新機能のひとつとして2017年6月のWWDC(World Wide Developers Conference)にて発表したもので、iOSデバイスでARビューを実現するためのフレームワークです。ハードウェアとしてはA9以降のチップ†1を搭載したiPhoneやiPadという条件はありますが、付録AのTangoのように特別なセンサーは必要とせず、現行のiOSデバイスで安定度の高いAR機能を実現しています(ただし、精度の高さや現実の物体とのオクルージョン、空間記憶など、専用センサーを使用するTangoのほうが機能としては高いものになっています)。
[†1] 特別なセンサーは必要としませんが、A9搭載機種以降という動作条件は、内部での各センサーの精密な同期も含まれていると推測されます。それにより追加のセンサーなしでこれだけの安定性を実現していると考えられます。
ARKitについてのApple公式の解説https://developer.apple.com/arkit/を参照すると、ARKitはVisual Inertial Odometry(VIO)を使っているとあります。ここで、Visualは標準カメラからの画像、InertialはInertial Measurement Unit(IMU)すなわちジャイロや加速度等のモーションセンサー、Odometryは走行距離計測のことを意味しており、加速度、ジャイロなどのモーションセンサーと、カメラからの画像を処理するコンピュータービジョンの技術を組み合せることで、自分が空間の中でどれだけ動いたのかを高い精度で認識することができます。具体的には、カメラから取得した画像の特徴点を認識して、その各特徴点のフレーム間での差分をトラッキングし、モーションセンサーから取得した動きと比較します( ...
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