まえがき
私がソフトウェアエンジニアからエンジニアリングマネージャーになったときのことを思い出します。私は、エンジニアリングマネージャーとして何をすべきなのか、まったくわかっていなかったのです。上司や同僚のエンジニアリングマネージャーにアドバイスを求めたり指導してもらったり、どうすればうまくいくかをいろいろ試行錯誤しました。「うまくいかなかったもの」ではなく「うまくいったもの」をたくさん行い、「うまくいかなかったもの」はすぐに修正し、そして、解決が難しいミスはあまり犯さないよう祈りながら過ごしていました。
それから随分年月が経ちました。最近のエンジニアリングマネージャーは優れたリーダーになるために、より多くのトレーニングを受けたり、より良いリソースを利用したりできるようになった、と言いたいところですが、実はそうではないようです。ほとんどのマネージャーの状況は、いまだに私がマネージャーになったときと同じようです。さまざまなアプローチを試し、うまくいきそうなものをとりあえず使っているというのが実状です。マネージャーの仕事がこれほど難しく感じられるのも、マネージャーの間で燃え尽き症候群がいまだに多いのも、不思議なことではありません。
エンジニアリングマネージャーを成長させるために、マネージャーのサポート方法を改革しようとした企業があります。それはGoogleです。Googleは、過去の事例や直感に頼るのではなく、優れたエンジニアリングマネージャーの特性を定量化し言葉化しようと考えました。このために、2つの大規模な調査プロジェクトを立ち上げます。まず、2008年に、GoogleはProject Oxygenを実施し、優れたマネージャーが備えている8つの特徴を突き止めました。2012年にはProject ...