はじめに
今日のエンジニアリングチームには、これまで以上に複雑でさまざまなものが求められています。このため、リーダーとしての効果性をスケールさせることが重要なスキルとなっています。小規模で自由の利くスタートアップチームの指揮を執る場合でも、グローバル企業で大規模な取り組みを指揮する場合でも、基本となる原則は同じです。その基本原則とは、信頼を育み、成長しようとするマインドセットを養い、説明責任を果たすということです。そして、この基本原則は成功に不可欠なものです。
筆者は、Googleでの長きにわたる職務の中で、ありがたいことに、エンジニアリングチームをさまざまな立場でリードするという素晴らしい機会に恵まれました。インディビジュアルコントリビューター(個人貢献者)として仲間のエンジニアを指導し成長させることに専念していた頃から、テックリードマネージャーやさまざまなレベルの組織リーダーとしての役割に至るまで、筆者は、たくさんの知識と知見を蓄積してきました。この知識と知見により、真に卓越したエンジニアリングチームを構築しリードするためには何が必要なのかを理解することができました。本書は、こうした貴重な学びをまとめたものです。
本書は、リーダーシップを担うようなポジションに就きたいと考えているエンジニアや、自分自身やチームの効果性を向上させるために、エビデンスに基づいた参考書を求めているエンジニアリングリーダーのためにまとめたものです。エンジニアリングチームの潜在能力を最大限に引き出し、大きな成果をもたらすために、どのような戦略、フレームワーク、ベストプラクティスを使うべきかを紹介します。実際の事例や、実践から得られた知見、そしてすぐに活用できるようなアドバイスを紹介し、卓越したエンジニアリングリーダーになるためのツールと知識を提供します。 ...