はじめに
本書は、Prometheusモニタリングシステムを使ってアプリケーションやインフラストラクチャのパフォーマンスをモニタリングしてグラフを作ったりアラートを送ったりする方法を詳しく解説する。本書はアプリケーション開発者、システム管理者、両者の中間のあらゆる人々を対象として書かれている。
既知を広げる
自分のシステムが動いているかどうかを把握することはモニタリングの重要な仕事だが、モニタリングの真価はほかにある。モニタリングのすばらしいところは、システムのパフォーマンス(性能)がわかることだ。
パフォーマンスという言葉で私が言いたいのは、個々のリクエストの応答時間やCPU使用率だけではない。もっと広い意味でのパフォーマンスである。たとえば、顧客注文の処理で必要とされるデータベースリクエストは何回か、もっとスループットの高いネットワーク機器を購入すべきときが来ているか、キャッシュミスで負担がかかっているマシンは何台か、ある複雑な機能には残しておいてもよいくらいのアクセス数があるかといったことだ。
これらの疑問はどれも、答えを出すのにメトリクスベースのモニタリングシステムが役に立つ。ただ答えを出すだけでなく、問題を掘り下げてなぜそのような答えになるのかを理解することさえできる。私は、モニタリングとは、広い視野で見た概要から、デバッグに有用な問題の核心に至る細部まで、システムのあらゆるレベルで知見を得ることだと考えている。デバッグと分析のためのモニタリングツールには、メトリクスだけではなく、ログ、トレース、プロファイリングも含まれる。しかし、システムレベルの問いに答えたいときに最初に向かうのはメトリクスである。
Prometheusを導入すれば、アプリケーションからベアメタルに至るまで、システムのあらゆる場所にふんだんにインストルメンテーション(測定装置を装備すること、計装)を配置しようという気持ちになるだろう。インストルメンテーションを使えば、サブシステムやコンポーネントがどのようにやり取りしているかを観測でき、未知を既知に変えていくことができる。 ...
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