第Ⅰ部設計
私たちは空前のイノベーションの時代に生きています。インターネット、クラウドコンピューティング、オープンソースソフトウェアの登場により、製品の構築コストは格段に低下しました。しかしながら、スタートアップが成功する確率は向上していません。ほとんどの新製品は失敗しているのです。
それより興味深いのは、成功したスタートアップの2/3が、当初のプランを途中で大幅に変更していることです。つまり、スタートアップが成功するのは、最初のプラン(プランA)が優れていたからではなく、リソースを使い切る前にうまくいくプランを見つけたからなのです。
これまでは、うまくいくプランB、プランC、プランZを直感や運に頼って見つけていました。プランAの有効性を厳密にテストする体系的なプロセスがなかったからです。そこで『Running Lean』の登場です。本書では、リソースを使い切る前に、プランAからうまくいくプランへと反復的に移行する体系的なプロセスを紹介します。
Ⅰ.1 ビジョンには「私」がいる
誰もが夢を見るが、誰もが同じではない。夜、疲れた心の奥底で夢を見る者たちは、目覚めとともに夢のむなしさを知る。だが、真昼に夢を見る者たちは危険だ。彼らはしっかりと目を開き、その夢を実現しようとする。
―T.E.ロレンス、映画「アラビアのロレンス」
メディアは、未来を見通して「画期的な」新製品を提供するビジョナリーの話を好みます。ビジョンのある製品のローンチは、遅すぎたり早すぎたりすることがありません。
なんだか素晴らしい話のように聞こえますが、ビジョンのある話の裏側には、何年もの激務・実験・学習が隠れているのです。スティーブ・ジョブズが「革新的デバイス」と評したiPadでさえ、少なくとも3世代のソフトウェアと、5世代のハードウェアをベースに数年もかけて開発されています。 ...
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